古森(ふるもり)の図書室

森の奥に居場所を探して...

魂が宿る・・とは

和田慎二さんの最後の作品となったコミックス『 傀儡師リン 』 を読んでいた。
少し前に、図書館で借りて読んで面白かったので
昨日、古書店で何冊か見つけた部分だけ、思わず買って帰ってきてしまった。
(足りない巻は・・また他の店を探すか・・どうしても読みたくなったら図書館だ。。)


傀儡師(くぐつし)とは・・人形遣い・・のこと
それも、このお話の中では、人形が まるで自分の意思で動いているかのように描かれている。
しかも、それぞれの人形たち、
持ち主の愛情を感じて喜んだり悲しんだり・・まるで魂があるように

また、それぞれの人形を膝の上に抱いて幸せそうに寛ぐ持ち主たち、

よく、物に愛着を強く感じていると、
そのうちに 其の物に『魂が宿る』と言われるけど・・・


・・ちょっと、最後の巻の方は前に読んだ記憶だけなのだが・・・・
とても印象に残っているので・・覚えてる範囲で書いてみたくなった。

。。。。。。


この 『 傀儡師リン 』 の中の最後の方・・・

ある人形が、最初に可愛がってくれた、持ち主の女の子と過ごした
その幸せだった頃を忘れられず
何度も形を変えられても、無意識のうちに女の子の居た街へと帰ろうとする。

あまりに度々、形を変えられ呼び名も変えられて
元の姿とは似ても似つかない人形になってからでさえ、
ある時に
ビアンカ!」と、最初の名前を呼ばれたら、
自分でも解らぬまま、思わず反応してしまう・・・

今の状況を可哀想に思った傀儡師リンは
順々と名前を過去に戻して呼んでいく。
名前が ひとつ、戻る度に記憶を揺すぶられる人形。

混乱の極みに陥って傀儡師リンの腕の中で震えている人形に
ビアンカ、あなたにも幸せになる権利があるのよ・・」と語りかけながら

今は変わり果てた姿の人形を 傀儡師リンが抱きしめる。

リンが持ち帰った人形を
人形師が、「ビアンカ」の最初の形に戻してあげる。

自分が何者か混乱している人形に
人形師は 静かに語りかけながら・・元の人形の体に戻す作業をしていく(まるで手術のように)

ビアンカ、 深く、深く、眠れ。何も考えずに・・深く、眠れ。。」


・・・・

(この『傀儡師リン』のストーリーの中でも、和田慎二さんは至る箇所で暖かな家庭の情景や少女たちの細やかな愛情を描いていると思う。
和田慎二さんの作品というと、アクション方面のが有名になってしまった感もあるけど(スケバン刑事など)
でも、ピグマリオの最後にある「もうひとつのピグマリオ」を見ても思うように
実は・・和田慎二さんは、本当は
とても優しい暖かいストーリーの方が・・好きだったのでは?・・・ないだろうか。。。
と、思ってしまう私なのだった。)


。。。。。。


『 魂 』 の 『 宿る 』 体、とは・・・いったい、何なのだろう?


私たちは・・今、こうして 「生きている」ということは、
「人間の肉体に魂が 宿っている」状態・・とでも言えばいいのか・・・

その、人間の魂が人形に宿ったお話が、
梨木香歩さんの小説「りかさん」に書かれている。
こちらは、亡くなった人が伝えたいことがあるために、人形の体を借りてきた・・という設定だったかな?


また、宇宙から来た知的生命体が 地球に来て
「宿る」対象を探すお話も、あった。
最初は猫、次に人形に・・・
その宇宙人(?)と人間との会話が面白かったのを覚えている。

「苺田さんのお話」というタイトルだったかな? コミックスで確か、6巻ぐらい続いてたと思う。



ちょっと、そんな不思議な話? ・・・を読みたくなってしまうのも、
これまた・・夏だから??
お盆の余韻が・・・まだ残ってるのかな。
(暑いから軽く読める漫画ばかりに手が伸びてしまうけど(汗)夏に読むなら・・・そうだ。ラフカディオ・ハーンの『怪談』も読んでみたら・・いいか。。。)