古森(ふるもり)の図書室

森の奥に居場所を探して...

お気に入りの作者

指輪物語に嵌るキッカケとなったのは・・・
映画『ロード・オブ・ザ・リング』を観たのが今から10年前だったのだけど、
その時から少しずつ買い始めた原作も、中々読めないままだった。
そして、今年になって
ある漫画を読んだ時に、その作風が大好きになった。
その作者の言葉を読んでいくうちに、
トールキンの作品に影響を受けて創作意欲が湧いたことを知った。
それで、じゃあ私も本腰を入れてトールキンの作品を読もうと、思い立たせてもらえた。

それが

デビュー作なのだという。

8年も構想を暖めてきてから作品に仕上げたというだけあって
ストーリーが、読み返すほどに味わいが深まる。
登場人物も、いいなぁ~と思うキャラクターがいっぱい!

中でも、その人間性に憧れてしまうのが、主人公(?)の、サウル・カダフ氏。

普段は・・・遊び好きで怠け心いっぱい。
一見すると「適当~な人間」に見られがち、
が、いざ、何かあると、皆が妙に信頼を寄せる。。
交渉ごとに長けていて、しかもその進め方に好感が持てる。
誰にとっても不満が出ないように、実に上手く調整する。
そして
他人の心の痛みに敏感で
触れて欲しくないことには決して話題を持っていかない。

ある人が尋ねた時、
「そういえば、あなたは私の過去のことを聞き出そうとしませんね?」
その時の彼の言葉
「あなたが話したがらないことを、なぜ私が訊かないといけないのですかな?」

。。。しかし、
一度、相手が語り始めたことは真摯に聞き役にまわり、
また自分のできる限りの立ち回りで問題解決に協力を惜しまない。

。。。。。

大人なのだなぁ。人間性が。
こういう人に、なれたらいいな、などど
もうかなりの年月を生きてきた この年になっても、憧れてしまうキャラクターであった。

他にも大好きなキャラクターが何人も登場する。
勿論、絵の醸し出す雰囲気も素敵。
それらについても、また次の機会に書いてみたい。

。。。。。



お気に入りの作者が何人か居る中でも、ふた通りのケースがあることに気がついた。

それは・・
デビュー作から順々に成長していくうちに作品の質がグングン良くなっていくタイプと
最初の作品に、作者の長い年月に込められた想いが凝縮されていると感じるタイプと
この後者のタイプが紫堂恭子さんの『辺境警備』だと思うのだが

前者のタイプは、和田慎二さんの作品に、それを感じた。
最後の未完の作に なってしまった『傀儡師リン』を読んでいると、
ああ、絵が 凄く成長したのだなぁ。と、思ってしまう。

人形の表情が、とても活き活きしていて、セリフが無いのにかかわらず、
何を思っているのかが、とても良く伝わってくる気がしてしまう。
画面全体の構図の取り方も抜群だ。

ストーリーも、勿論。面白くてグイグイ引き込まれるし、
心地良いユーモアあり、ホロリと泣かせる場面あり、、
読んでいてホッとくつろげる、娯楽性も充分。

さすが、ベテランの域。と思わせる、私のお気に入りの作者なのだった。




(・・・今は亡き作者の・・・続きの作品が読みたいと思ってしまう。
     もしかしたら、天国で描かれているところだったりして?
     ・・・仕事で描いている間は、きっと経営する側と純粋に描きたい側との
       考えの違いが多かっただろう。。。
       もう、どこからも制約されない処で…本当に描きたかったストーリーを、
       思う存分、描いてください。。。)