古森(ふるもり)の図書室

森の奥に居場所を探して...

リンボウ氏の下宿先

再び夏が戻ってきた?・・かのような暑さにバテ気味だった、ここ数日
ちょっと休憩の ひとときに何か軽い読み物を・・・と思って取り出したのが
・・もう16年程前に買った文庫本だけど
今、読み直してみてビックリ!

それは

「イギリスは おいしい」というエッセイ集で日本エッセイストクラブ賞を取った、
(この本も、イギリスの食べ物のお話が とても楽しい。)

リンボウ先生という呼び名をよく聞く、
林 望(はやし のぞむ)氏。

その リンボウさんが同じ頃に書かれていた、
「イギリスは愉快だ」 (単行本 : 1991年  平凡社
                                        文庫本が1996年、文春文庫より発行)という本の中で

氏がイギリスに留学中にお世話になった下宿先のことについて、書かれてあるのだが・・
その下宿先の主人こそ、あの
イギリスの児童文学 「グリーンノウ・シリーズ」の作者として有名な

ルーシー・マリア・ボストン夫人だった。

そのボストン夫人との暮らしの思い出のエピソードの数々が
この「イギリスは愉快だ」の中に 書かれてあった。

(・・・以前、買ったばかりの頃に読んでいたのに・・記憶が薄れていたなんて・・・
     でも、こうして何年も経ってからでも新たに気がつけたのは嬉しいことかもしれない。)


リンボウさんも、この時はまだ、
ボストン夫人が有名な児童文学の作者だとは知らずに
ただ、気に入った下宿が中々見つからなかった時だったので、
「少し遠いけど、まぁ行ってみよう」と、訪ねていったのだそうだが、

見ず知らずの東洋人を最初から信頼して住まわせてくださった夫人の暖かい心が
とても嬉しかったと書かれている。

月夜の美しい光に感じることの共感や
ひとつ、ひとつ、エピソードが 繰り広げられてゆくほどに
ボストン夫人の感性の豊かさ、
また、「ああ、なるほど イギリス人らしい!」と思える あれこれ、や、
そして不思議なほどに私たち日本人とも共感できる、ものの考え方などや

そこには、同じ屋根の下で暮らしを共にしてきた者ならではの、
『生き生きとした生活の中での出来事』に、出会うことが出来るエッセイだと思った。



私も・・ボストン夫人の名前を知らなかった。
と、いうよりも若い頃は、児童文学に関心が行っていなかったのだ。。
(恥ずかしいことに・・英米文学を専攻していたというのに;;)



・・・あの、時間もタップリあって記憶力も抜群の若い頃に、ボストン女史の作品に出会っていれば・・
・・・どんなにか、「のめり込める時間」も、たっぷりあったのに・・・

と、
今更ながら、探偵ものばっかりに没頭していた頃を思い出したり・・・

でも、

・・・やっと秋らしく(今度こそ、本当に涼しくなるかな?・・・)なってきた今、
こんなエッセイを読む ひとときも また楽しみ。

そして
このリンボウさんのエピソードを心の中に宿しつつ、
今度は、
ボストン夫人が書かれた児童文学を読んでみたら・・・またきっと、
より深く味わえる何かが・・・あるかもしれない。
 
 


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真ん中の本、『イギリスは愉快だ』の中に、ボストン夫人の家でのエピソードが語られている。
 
(左端の本、「イギリス観察辞典」も、一つ一つの言葉からイギリスを語る『辞典』なので
  どこから読み始めてもいいし、調べるのにも便利、そして
    リンボウさんの語り口は、どこを見ても・・・楽しくて・・・面白い。)