古森(ふるもり)の図書室

森の奥に居場所を探して...

旅先の救い

旅は好きな方だ。
なので、途中の楽しみと言えば、やっぱり美味しいもの、快適な宿、くつろげる空間など・・・

しかし
その旅先の楽しみも、単なる観光の旅行ではなくて、
「何かを 成し遂げる」ために出発した旅ならば、
なおのこと、ホッと安心してくつろげる宿に恵まれることは
とても助かる・・・もっと言えば「救い」ですら、ある時もあると思う。


前回に書いた、「指輪物語」の中で
映画を観た後で、あらためて原作を読んでみて、気がついたことの一つに

重大な使命を帯びて旅立った、ホビットたちが
原作の中では
ホビット村を出て最初の苦境の中、助けてもらった人物から
この快適な宿を恵まれてホッとする場面がある。

その宿主(と言っても、普通の人間ではなく、何やら謎の存在めいている。)
トム・ボンバディルの話のシーン、とても重要なんじゃないか?と思ったのに

これが、映画には全然、出てこない。。
似たような場面を違う時に、他の登場人物に置き換えたシーンはあったようだが。。。

まるでトム・ボンバディルという存在そのものを抹殺されてしまったようで
とても残念だと思った。

だって・・・ホビット村を出て、いよいよ見知らぬ土地への旅を始める、最初の難関を
まず、乗り越えるには、
歩き疲れ、持ってきた食糧も乏しくなってきた時に
快適な宿と食べ物で英気を養うことが出来たからこそ、
(しかも、2度までも窮地を救ってくれたし!)

ガンダルフと落ち合う約束をしていた「ブリー村の躍る小馬亭」へ辿り着くことが出来たのでは?
。。。。。

もしそこで挫折していたら、ガンダルフにも再会できないし、物語が進まない。

それに、体力を消耗しつくしていた4人には、
雨が降り続いて出発を延期せざるを得なくなったおかげで
快適な宿で、ゆったりとくつろぎながら、トムの話を聴くことが出来たのは
これからの冒険(と、言うより使命と言った方がいいかな)のポイントを知ることも出来、
まさに旅の始めの救いのひと時だったと思う。

派手な戦争シーンでもって、カッコいい武者が登場した方が、
武器や武具の見事さを見せた方が、
そんな映像の時間が長い方が・・・・観客は喜んでくれるかもしれない。

だけど・・・私は
あのトム・ボンバディルと川の精の娘ゴールドベリのところの入った映画も観たかったなぁ。
と、原作を読み始めてから思う。

だって
旅に出て、疲れ切った時に
目の前に現れた快適そうな宿と
心尽くしのサービスで対応してくれる宿主の話は
読んでいる側だって心もホッと温まるもの。

こうして書いてみると・・・
物語にしろ、映画やコミックスにしろ、
ホッと心が暖まるシーンが大好きなのだ。やっぱり。