古森(ふるもり)の図書室

森の奥に居場所を探して...

繊維に関すること

何故かしら、繊維ものに縁のある仕事によくついていた。
そのせいか、布地や糸、染料に関する事柄に出会うと
自然と興味が湧いてくる。

からくりからくさ(梨木香歩さん)の中で読んだと思うのだが、
黒い色を出す染料は
自然の物から完全な黒を染め上げるのは難しく、
どうしても化学染料に頼ることになる・・とか

と、いうことは・・・昔の「黒い染物」は、本当の(というか完全な)黒色ではなかったのか?
今でも一言に「黒い布地」と言っても
微妙に違う色合いの「黒」だったりする。

・・・・・

あと・・藤村由香(だったかな? 確か・・4人の女性の名前を組み合わせたペンネームだとか)さんの
額田王の暗号」「古事記の暗号」
・・・たしか、そのあたりの本だったと思う。(図書館で借りて読んだので・・今、手元に無い。。)

紫の色を出すのには
あの万葉集の時代の頃には
青色と赤色とを別々に、2回に分けて染めて
その「2つの工程を経て、やっと紫色に染まった布地が出来上がるのだった、とか。
そして・・その紫色の布地は高貴な色とされていたので
宮廷のための特別な(何ていうのだったろう?)植物を栽培する庭というか・・あった。

・・・・・

もう一つ、
これはドキュメンタリー番組で見かけたもので

あの、薄紫の花が綺麗な 「藤」
あの 藤の花の咲く、あの「つる」から昔は繊維を取っていたそうだ。
今では京都府の1つの地域だけが、
その作り方を続けていると出ていた。

藤の「つる」がブナの木に巻きついてしまうと、木が弱るので
定期的に藤のつるを取ることは、森林を守る良い方法なのだったという。
そして
「つる」を蒸すか煮るかして柔らかくしてから綺麗な水に浸しておいて
繊維だけを取り出す、手間のかかる作業のようだったが・・・
その藤の「つる」から取った繊維は
軽くて丈夫で、伸縮性もあり 昔はよく布地を織っていた、とか。

藤の「つる」から取った繊維の布地。。。どんな感触なのだろう??
一度、手にとってみたい気がする。

今では色々な繊維を作ることが可能になり、
竹から取る繊維で作った糸で編むのも柔らかいニットが出来る。
和紙から糸を作り、布地を織ることも出来るようになったそうだ。

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麻の糸で織る布地は昔から庶民も使うことが出来たというが
その他にも、何か他の植物から取った繊維で
「着るもの」他に利用していた可能性は・・・

きっとあったに違いないと思うと

昔むかしに生み出されて、普段の生活に使われていた繊維、
なんだか興味が湧いてくる。

もしかしたら・・・今の私たちが想像するよりも・・もっと
もっと、
昔むかしには・・豊かな衣料の暮らしが
あった時代も・・あるかも・・・なんて。


そんなことを ふっと思ってしまう今、

窓から見える新緑の中には
あれは・・・イラクサ
それとも・・・
皮を蒸して内側の繊維をとっていたという「カラムシ」?

・・・なんて思いながら眺めている、
生き生きとした緑の濃い景色の季節・・・