古森(ふるもり)の図書室

森の奥に居場所を探して...

服地と仕立て

繊維ものに関心を持つと、映画やドラマだけでなく小説や漫画を読んでいる時にも
登場人物が着ているものまでも
「この生地は、どんな風合いだろう?」とか
「この服を着た時に、実際に動きやすいだろうか。」
などど、
その言葉から、または白黒の絵という二次元的な表現からも、つい想像してしまう。


そんな私が、読み始めたら面白くてハマってしまった漫画がある。
王様の仕立て屋』という、
紳士服の仕立て職人の話なのだが
そこでは、スーツの上下も全て手縫いで仕上げるのだという。

ミシンで縫うのは丈夫なように思えるけど、
本当は手縫いの方が二枚の布地を合わせる時に「ずれ」を最小限に縫うことが出来、
しかも縫い糸に「遊びの余裕」を持てることで
長く着続けてみると、着心地の良さから
その差が解るのだという。

しかし、腕の良い職人さんが手縫いで仕上げたスーツなぞ、手間賃が高すぎて
一般のサラリーマンには、とてもじゃないが買うことは無理なのでは?

・・・などと思いつつコミックスを何巻も読んでいくうちに
昔、勤めていた会社の輸入生地部門を思い出した。

。。。。。

そこでは紳士服地の中でも上質な英国やイタリアなどの服地を輸入していたので
特に営業の社員たちの着るスーツなどは、まだ入社したばかりの頃の私が見ても
どことなく仕立ての良くて上質なものだと分かった。
年輩の上司方の着ているものなど、尚更。

ああ、と、そこで思う。
もしかしたら。
あの時あの頃に見た、上質な生地と仕立ての紳士服は
もしかしたら、輸入先のイギリスやイタリアに行った時に
仕立ててもらったものも・・・あったかもしれない?。。。。。手縫いのスーツも?

。。。。。

ちくちくと針を入れて縫う。

そういえば
手で縫う・・・と言えば。

この間、読んだ『辺境警備』の中にも出てきたっけ。
娘さんが暖炉の前で夜なべ仕事に針を進めるシーンが。
こちらの場合は・・
その村に来て色々と教えてくださる神官さんの着る服を縫っていたのだけど・・・


“  Without no seams nor needle work,
"  Then she'll be a true love of mine....

・・・縫い目も針の跡も見えない服?。。。かぁ。
なんて、
スカボローフェアの歌も、ふっと思い出してしまう。